マイナス金利についての考察

 今日は今月のトレードの振り返りの記事を書くつもりでしたが、旬ネタであるマイナス金利について私なりの考察をしてみることにしました。 尚、昨日の記事を書いた後、ちゃんと日銀から出された文面を読んだ上で今日の記事を書いていますので、ええ加減な内容にはならないと思っています。

 まず今回発表された政策について私が受けた印象は、世間的にはマイナス金利という言葉のイメージが強すぎてというか先走っていて、金融の世界が180度変わってしまうかのようなイメージを抱くかもしれないが、実際はそれほどでもないというものでした。 私も今回の政策を最初耳にした時は「日銀当座預金に預けてある残高すべてにマイナス金利を適用するのか、そりゃえらいこっちゃ」と思ったのですが、政策にちゃんと目を通すと「なんや、今後増加する分に対して適用するいう話やないかい」となりました。 まぁそれでもやはり「マイナス金利」という言葉の響きは重大ですな。 今回の政策を簡単にまとめると、日銀当座預金の残高を①基礎残高②マクロ加算残高③政策金利残高の3つに分けて①については従来通りの0.1%を付利する、②については0%とし、③について-0.1%とするというものです。 ①の基礎残高は2015年1年間の平均残高であり、②のマクロ加算残高は主として所要準備額、これは法律で日銀に預け入れなければならないとされている最低金額のことで法定準備預金額と言われるものです。 ③の政策金利残高は①と②を上回る部分を言います。 それで結局どれ程の残高がマイナス金利が適用されるのかということですが、S証券の某シニアアナリストによりますと1月の残高がちょうど①と②を合わせた残高になるので来月以降残高が増える分に対してのみマイナス金利が適用されることになるということです。 実は私も独自で日銀の資料を基に計算してみたのですが、私の計算では既に少なくとも残高の数パーセントが来月からマイナス金利適用となるという結果になりました。 資料を基に計算する際に疑問箇所が出てきたのですが日銀に確認することなく自分の判断でやりましたので、まぁここはプロである某シニアアナリストの計算の方が正しいと思っています。 簡単に言うと以上が今回の緩和策ということになります。 ここでじゃあ当座預金の残高を増やしてマイナス金利を適用されるくらいなら日銀の当座預金に預けるんじゃなく現金で保有しておけばいいんじゃね?と思われるかも知れませんが、そこはちゃんと日銀も心得ていて、「現金保有額が大きく増加した場合その増加額を②から控除する、②だけで不足する場合は①から控除する」としていますのでその手は通用しません。 まぁ大きく増加した場合の大きくとはどれほどのことを指しているのかは分かりませんが。

 以上のことから金融機関にとってどのような影響が生じることが考えられるのかを考えてみる。 まずこれ以上日銀当座預金の残高が増えると確実にマイナス金利となりコストが発生する。 つまり利益が減少することになる。 と言ってその分現金で保有することもできない理由は先ほど述べた。 じゃあどうすればいいのか、他に手はないのかというと、私ならこれ以上国債を日銀に買い取ってもらうことを止める。 そうすれば当座残高に金が溜まることはない、それだけの話だ。 金融機関もここ3年で以前からすれば国債の保有残高は減ってきているはず、マイナス金利を払ってまでこれ以上国債残高を減らさなければならない必要性があるのか?ということである。 ただもし多くの金融機関が同じ行動をとると日銀は市場で国債を買い取ることができなくなってしまうという問題が出てくる可能性があるが、そのとき日銀はどうするつもりなんだろうと思ってしまう。 金融機関にとって一番の問題は当座預金のマイナス金利よりも貸出金利の更なる低下の方である。 そうでなくてもここ数年ずっと貸出約定金利は下げ続けてきたのがこれでさらに下がることが決定的になった。 何故貸出金利が今回の政策(マイナス金利)で下がるのか?というと貸出金利は国債の利回りがベースになっているからである。 低下する貸出金利を貸出残高の増加でカバーしようとしても無理である。 何故かというと資金需要がないからである。 今回の政策はマイナス金利にすることによって銀行は日銀当座預金に置いとけないから貸し出しに積極的になり、企業、個人は金利が安くなることによって借り入れ意欲が強くなって世の中にお金が出回り、景気が良くなり物価も上がるというのを目論んでいる。 だが金利はすでに十分安くなっていて、これ以上安くなったところで借りようとは思わない、金利が0でも資金需要がなければ多分借りないだろう。 銀行が貸し渋っているわけではない、これ以上貸出を無理に増やそうとすればアブナイ先に貸すことになってしまう。(個人的には銀行は既に融資先としては適切とは思えないようなところにまで貸し出しているのではないかと思っているが。) もちろん全く効果がないとは言わない、多少の効果は必ずあるだろう。 だがどんどん貸し出しが増えるとは思えないのである。 ということで銀行にとっては貸出金利の低下が最も恐れる収益減少要因になるだろう。 これをカバーしようと思えば普通は預金金利を下げることになるのだが、預金金利はもうこれ以上下がりようのないところまで下がってしまっている、ように思えるが恐らく銀行は更に下げてくるはずだ、0.01%でも。 さすがにマイナス金利にはしないだろうが限りなく0パーセントに近づけてくる。 普通預金なら0%になっても全然おかしくないと思う。 まぁこれも貸出金利と同じで今でも既に0%近くまで下がっているのだから、これを0%にしたところで預金者にとって実質的な変わりはないだろうからいいとも思えるが。 預金金利をこれ以上下げる余地はほとんどないから、恐らく銀行はあの手この手を使って手数料名目的なやり口で顧客からかすめ取る方法を考えてくるはずである。 

 ということで今回の日銀追加金融緩和策は銀行にとっては収益低下が必然視されるものである。 仮に日銀の目論見通り景気が良くなって物価も上がったとしても、銀行にとってはその恩恵を受けることはほとんどないように私には思える。 業績が急激に悪化することはないにしても上がることはない、そんな株を買う投資家がどこにいるというのか? まぁでも今までも貸出金利はずっと下がってきたけれども過去最高益をたたき出してきたということからすれば、今回の逆風も何とか乗り越えて行く可能性も無きにしも非ずではあると思うが、それにしても今回の相手は手強すぎると思うのである。


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