MMT理論の功罪

 数週間前の記事の中でMMT理論について触れたことがあったが、今日はもう少し具体的な見方について書いてみたい。 先日の記事で私はMMT理論は理論としては正しいが、この理論を現実社会で実施するのは危険であるという趣旨のことを書いた。 今日はそのどこが危険なのかについて書いていく。 MMT理論はインフレにならない限りは自国建て通貨の国債をいくら発行しても大丈夫、財政破綻はしない、そしてインフレになれば増税すればいい、つまり増税することでインフレを抑え込むことができるというものである。 この考え方のどこが危険かというと、インフレになったからと言って簡単に増税ができるのかということである。 増税は国民が最も嫌うところであるが、それをはいじゃあ来月から増税しますなんてできるわけがないのである。 いや1年後だってできるかどうかわからない、なんせ国民が最も嫌う政策なのだから。 そんなことをしようとする政府、与党が選挙で勝つと思われますか? 今回の消費増税まではなんとか実行できたが、それでも8%から10%に引き上げるのに延期、延期でそれなりの年数を要している。 ここからさらに消費税にしろ所得税にしろどんな形であれ増税となったら国民は大きく反発するであろう。 仮に国民を納得させることができたとしても、それまでには相当な年月が必要になるが、その間にインフレはどんどん進行して行くのである。 ここ数十年物価がほとんど上昇していないからインフレなんてなるはずないと思っているだろうし、仮になったとしても徐々に進行して行くというイメージしかもっていないと思うが、一旦インフレに火が付けばあっという間に上昇スピードが加速していくだろう。 インフレとはそういうものである。 そんな状況の中で増税を実施できるだろうか? 私は甚だ疑問なのである、というより不可能だと思うからこの記事を書いている。 ここがMMT理論の盲点であると私は考えている。 だがインフレが起きる下地のない現時点においてMMT理論は有効な考え方である。 今回のコロナ禍における救済措置では思い切った財政出動を国債の増発で実施すればいいのである。 今後さらなる財政出動で数十兆円の国債を増発したところで何も問題はない、困っている国民が多数いる状況ではそうすべきであろう。 問題なのはいくらでも(国債増発が)行けると勘違いして、どんどん国債発行を増やしていけばいずれはインフレの芽が出てくるのである。 その時点で気付けばいいと思われるだろうが、その時点ではほとんどの人はそんなことには気づかないものである。 そのころは政治家も国民も国債増発によっていいような生活を送っているだろうから、まだまだいけるやろという気になっていて、とてもそんな兆候は目に入らないはずである。 つまり私はMMT理論は短期的には有効であっても長期的には疑問符の付く理論であると考えている。 いや、長期的にでもGDP成長率と大きく乖離しない程度の国債発行なら有効であると言えなくはない。 でもね、人間がやることなんだから、そんな机上の理論通りには行かないものなのよ、この世の中は。 だから行き着く先はインフレでどうにもならなくなって、最終的には国民の負担で国(政府)の借金を返済するといういつものお決まりのパターンで決着することになるだろうと私は考えている。 それが何年先のことかはわからないが、今の時代何事も多くの人が思っているよりは早くにその状況が訪れる可能性があるので、今から何十年も先ということはないだろう。 私が思うに財務省なんかはこれらのことを想定しているからこそ、歯止めをかけるべくシブチンなことを言い続けているんじゃないかと勝手に想像している。 頭のいい人間以外はいないエリート中のエリートである財務省が、これらのことに気付かないわけはないからである。


スイングトレードランキング

コメント

非公開コメント

トラックバック